職業訓練の給付金がもらえる資格と条件 | 審査に落ちるパターンとは

お役立ちコラム 2023.03.06

ワークキャリアのブログを担当している伊藤です。

いざ「職業訓練を受講するぞ!」となった時、気がかりなのが「自分は給付金・手当をもらえるのか?」という問題です。

特に求職者支援訓練は「月10万円」というまとまったお金をもらえる可能性があるので、受給できるか・受給できないのかによって受講への安心感も変わってきますよね。

給付金・手当については、明確な基準が一般公開されています。

基準に照らし合わせながら、自分の場合は給付金・手当がもらえるのか?それとも申請しても落ちる可能性が高いのか?の目星をつけることが可能です。

この記事では、求職者支援訓練の給付金・手当がもらえる資格や条件、審査に落ちるパターンについて解説しています。

分かりやすいように実例も出していますので、公的な資料よりもイメージしやすいと思います。

頭の中を整理して「給付金・手当がもらえるのかもらえないのか、モヤモヤするなぁ」という状態を抜け出しましょう!

LINEで受けられる体験講座のバナー

前提:月10万円の給付金がもらえるのは求職者支援訓練

求職者支援制度は、再就職、転職、スキルアップを目指す方が月10万円の生活支援の給付金を受給しながら、無料の職業訓練を受講する制度です。

月10万円の給付金+各手当+無料の職業訓練+就職サポートを受けられる手厚さがあります。

雇用保険を受給していない方が主な対象者ですが、例外もありますので、詳しくは近くのハローワークに相談しましょう。

この記事は、求職者支援訓練を受講して月10万円の給付金・手当を受け取りたい方に向けて書いています。

離職者支援訓練や教育訓練給付制度については、この記事では割愛していますのでご注意ください。

参考:ハロートレーニング(公共職業訓練・求職者支援訓練)の全体像 (閲覧日:2023年4月28日)

給付金・手当をもらえる主な対象者

訓練の受講要件を満たした人の中で、さらに給付金・手当を受け取れる人と受け取れない人に分かれます。

訓練を無料で受けられても、全員が給付金・手当を受け取れるわけではありません。

給付金・手当を受け取りながら職業訓練を受けるための要件を整理しました。

第一関門:求職者支援訓練を受けられるかチェックしよう

給付金・手当の話以前に、そもそも訓練を受けるための要件を満たしているか確認しましょう。

これまでは「再就職や転職を目指す方」が求職者支援訓練の対象でしたが、2023年4月1日より「転職せずに働きながらスキルアップを目指す方」も対象になりました。

対象者の幅は広がっています。

▼訓練受講の要件

  • ハローワークに求職の申込みをしていること
  • 雇用保険被保険者や雇用保険受給資格者でないこと
  • 労働の意思と能力があること
  • 職業訓練などの支援を行う必要があるとハローワークが認めたこと

これらに当てはまると、基本的には求職者支援訓練を受講できます。

よく分からない場合は、最寄りのハローワークで相談しましょう。

第二関門:給付金・手当を受けられるかチェックしよう

無事に訓練を受けられることが分かったら、月10万円の給付金・手当を受けるための要件にも当てはまるか確認しましょう。

▼給付金の支給要件 

  • 本人収入が月8万円以下
  • 世帯全体の収入が月30万円以下
  • 世帯全体の金融資産が300万円以下
  • 現在住んでいるところ以外に土地・建物を所有していない
  • 訓練実施日全てに出席する必要があるが、育児・介護を行う方や、求職者支援訓練の基礎コースを受講する方については、欠席理由を証明できない場合であっても訓練実施日の2割まで欠席を認める
  • 世帯の中で同時にこの給付金を受給して訓練を受けている者がいない
  • 過去3年以内に、偽りその他不正の行為により、特定の給付金の支給を受けていない
  • 過去6年以内に、職業訓練受講給付金の支給を受けていない

▼通所手当の支給要件 

職業訓練受講手当(月10万円)の支給対象者
+ 職業訓練受講手当(月10万円)の支給対象とならないが、収入が一定額以下
※かつ他の支給要件を満たす方については、通所手当のみ支給
※本人収入月12万円以下、世帯収入月34万円以下

*2023年4月以降に開始する訓練受講から

参考:求職者支援制度が変わります | 厚生労働省・都道府県労務局・ハローワーク (閲覧日:2023年4月28日)

条件だけを見てもイメージしにくいと思いますので、この先はより具体的に解説しますね。

職業訓練受講給付金の審査に落ちるパターン

よくある「給付金の審査に落ちるパターン」は次の通りです。

  • 世帯収入が月30万円より多い
  • 自身の収入が8万円より多い
  • 世帯で他に給付金を受給している人がいる
  • 講座の出席率が80%未満
  • 世帯全体の金融資産が300万円より多い、不動産等の資産を持っている
  • 賞与(ボーナス)のある月が重なってしまった
  • 直近で給付金をもらったことがある、家族が受講している など

自身のことだけでなく、世帯の状況を考える必要があります。

給付金の審査の厳しさ・注意点

「職業訓練 給付金 審査 厳しい」

「職業訓練 給付金 審査 落ちた」

このように検索する人がいるように、給付金の審査は厳しいと感じる方が多いようです。

実際には下記のような厳しさがあります。

  • 受給中は資格・条件をキープしなければならない
  • 世帯で見られる
  • 申請手続きに必要な書類が多い
  • 毎月ハローワークでの手続きが必要

それぞれ解説しますね。

受給中は資格・条件をキープしなければならない

給付金・手当を受給するには、受給条件を常にキープしなければなりません。

例えば4~9月までの6ヶ月間職業訓練校に通う場合、6ヶ月間ずっと条件をキープしなければならないのです。

「受講前、一度審査に通過すればOK!」ではなく、毎月ハローワークでの確認があり、その際に条件をキープできているかチェックされるのです。

最初の月は給付金の条件に当てはまっていたけど、途中の月からは当てはまらなくなったので、給付金の対象から外れてしまいました……。

このような事態も起きますので、審査は厳しめと感じるかもしれません。

世帯で見られる

給付金・手当の条件については原則世帯単位でチェックされます。

  • 世帯全体の収入が月30万円以下
  • 世帯全体の金融資産が300万円以下
  • 世帯の中で同時にこの給付金を受給して訓練を受けている者がいない

この条件から外れると、給付金はもらえません。

例えば専業主婦の方が求職者支援訓練を受ける場合、配偶者の収入や資産も考慮されます。配偶者の収入を事前に把握しておきましょう。

また、独身の方も油断できません。

実家を出ているものの住民票の異動等を忘れている場合は「親と同じ世帯」と見なされ、世帯年収=親の所得+自身の所得となることがあります。

実家暮らしの方は世帯分離をしていないことが多いと思いますので、その場合も親の所得・資産次第では給付金・手当を受け取ることができません。

■結婚されている方:配偶者の収入や資産
■独身の方:住民票を移しているか、世帯分離しているか

特にここは要チェックです。改めて確認しましょう。

申請手続きに必要な書類が多い

申請手続きに必要な書類が多く、窓口での提出が必須の場合も多いです。

手続き関係の作業が苦手な人にとっては、気持ちが重くなるかもしれません。

受講自体はオンラインで完結するeラーニングコースの場合も、書類の提出の際は窓口に行く必要があります。

公的な機関は「インターネット提出NG」な場合が多いのです。

▼申請に必要な主な書類の例

  • 個人番号確認書類(原本/マイナンバーカードなど)
  • 身元確認書類(運転免許証など)
  • ハローワークから交付された各種様式(受講申込書など)
  • 直近3ヶ月以内に交付された住民票謄本の写しまたは住民票記載事項証明書(世帯の構成および続柄が記載されたもの)
  • 事前審査申請日の前月に得た申請者本人および全ての同居配偶者等の収入を証明する書類(賃金明細書など)
  • 申請者本人または同居配偶者等が保有する事前審査申請日の残高が50万円以上である全ての預貯金通帳または残高証明(直近1ヶ月以内に交付されたもの)
  • 給付金の振込先となる通帳
  • その他、ハローワークが求める書類

参考:ハローワークで給付金を貰う方法【職業訓練給付金と教育訓練給付金】 (閲覧日:2023年4月28日)

必要書類が多いので、リストを作ってきちんと管理したいですね。

毎月ハローワークでの手続きが必要

先ほども触れましたが、給付金・手当をもらうには毎月ハローワークでの手続きが必要です。

「訓練開始前に手続きすれば、もう完了!」ではありません。

例えば6ヶ月間職業訓練を受ける場合、受講中は最低月1回はハローワークに通う必要があります。

職業訓練受講給付金手続きの流れ

給付金をもらうには、まずはハローワークを訪れて、一連の手続きをします。

  1. 求職申込み・制度説明
  2. 訓練コースの選択
  3. 訓練の受講申し込み
  4. 訓練実施機関による選考
  5. 就職支援計画の作成(支援指示)
  6. 訓練の受講開始

「5.就職支援計画の作成(支援指示)」の段階で給付金の書類手続きをします。

ハローワークで説明を受けたのち、必要書類を準備しましょう。

ちなみに受講中〜受講終了後もハローワークに行く必要があります。

訓練受講中はもちろん、訓練終了後も3ヶ月間は、原則として月に1回、ハローワークが指定する日(指定来所日)にハローワークに来所し、定期的な職業相談を受けることになっています。

指定来所日にハローワークを訪れ、必要な手続きを行います。

給付金の事前審査に必要な書類や資料

給付金の事前審査に必要な書類はたくさんあります。

この記事を読んでいる段階では「何となく把握できればOK!」と考えて、詳しいことは窓口で確認しましょう。

<事前審査に必要な書類>

①本人確認書類(原本)

以下のうちいずれか1点

  • 運転免許証
  • 旅券
  • 外国人登録証明書
  • 顔写真付きの住民基本台帳カード(氏名、住所、生年月日の記載のあるもの)
  • その他顔写真が貼付されている官公庁発行の書類など(氏名、住所、生年月日の記載のあるもの)

上記をお持ちでない方は、以下のうちいずれか2点

  • 各種健康保険証
  • 罹災証明書
  • 国民年金手帳
  • 顔写真なしの住民基本台帳カード(氏名、住所、生年月日の記載のあるもの)
  • 公共料金の領収書(住所の記載のあるもの)
  • 母子健康手帳

②ハローワークから交付された各種様式

  • 受講申込書
  • 受講申込・事前新社署(安定所提出用)
  • 職業訓練受講給付金要件報告書
  • 職業訓練受講給付金通所届

③所定の添付書類(原則として原本)

  • 直近3か月以内に交付された住民票謄本の写しまたは住民票記載事項証明書(世帯の構成及び続柄が記載されたもの)
  • 事前審査申請日の前月に得た本人収入を証明する書類(賃金明細書など)
  • 事前審査申請日の前年における申請者本人およびすべての同居配偶者等の収入を証明する書類(源泉徴収票、市区町村が交付する所得証明書[額面が記載されたもの]など)
  • 申請者本人または同居配偶者等が保有する事前審査申請日の残高が50万円以上である全ての預貯金通帳または残高証明(直近1か月以内に交付されたもの)
  • 預貯金の振込先となる通帳
  • その他、ハローワークが求める書類

<支給申請に必要な書類>

①ハローワークから交付された各種様式

  • 職業訓練受講給付金支給申請書(訓練実施機関による受講証明を受けたもの。受講証明がない場合は無効)
  • 就職支援計画書
  • 給付金支給状況(支給記録)※あらかじめ交付を受けていない場合は不要
  • 事前審査通知書(初回支給申請時のみ)

②やむを得ない理由で訓練を欠席(遅刻・欠課・早退)した場合はその理由を証明する書類

本人の疾病または負傷のため【いずれか1点】

  • 医師または担当医療機関の証明書
  • 医療機関または調剤薬局の領収書(薬の領収書)
  • 処方箋(写しで可)

親族(6等親以内の血族、配偶者、3等親以内の姻族)の看護のため

  • 医師または担当医療機関の証明書
  • 医療機関または調剤薬局の領収書(薬の領収書)
  • 処方箋(写しで可)

求人者との面接や就職セミナーなどの受講のため

  • 面接事業主の証明書
  • セミナー参加証など

列車遅延、交通事故、天災などやむを得ない理由のため

  • 遅延証明書
  • 事故証明書など

参考:職業訓練受講給付金を受給するまでの流れ (閲覧日:2023年4月28日)

源泉徴収票や証明書類はすぐに手に入るとは限りません。

家族にあらかじめお願いしたり、勤務先の総務課等に相談したりする必要があります。余裕を持って準備しましょう。

やや煩雑ですが、「これをクリアすれば給付金をもらえる可能性が高まるぞ!」とモチベーションを上げて頑張りましょう。

職業訓練受講給付金のQ&A

細かい疑問についてお答えします。

ボーナスはどういう扱いになりますか?

ボーナスも収入に含まれます。「ボーナスのある月は、収入が増えてしまうため、給付金を受給できない」という事態も起こります。

アルバイト・パートをしていても大丈夫?

アルバイト等で収入を得ることはOKです。無職の人限定の給付金ではありません。

ただしアルバイト代は下記の範囲内におさまるよう調整しましょう。

  • 本人収入が月8万円以下

これ以上働くと給付金・手当の支給対象から外れますし、忙しすぎると訓練の受講時間が確保できなくなる可能性もあります。気をつけましょう。

家族の収入がいくら以上だと給付金をもらえなくなる?

世帯の合計収入が月30万円より多い場合、給付金をもらえません。

例えば下記の場合は世帯の月収は30万円より多いので、給付金はもらえません。

  • 配偶者:会社員として月25万円
  • ご自身:パートで月6万円
  • 合計:月31万円

家族の収入状況を把握しておきましょう。

実家暮らしだと審査に落ちやすいって本当?

実家暮らしの場合、親と世帯分離をしていないことが多いと思います。

その場合は世帯収入=親の収入+自身の収入とカウントされますので、たとえご自身の収入は「月収8万円以下」という条件に合っていたとしても、親がそこそこ稼いでいると、審査に落ちることがあります。

兄弟姉妹も同居し、同一世帯として暮らしている場合は、なおさら注意が必要です。

世帯の状況や家族の収入についてもあらかじめ把握しておきましょう。

「世帯分離してると思ってた」

「親や家族の収入がそんなに高いと思わなかった」

このような事態は防ぎたいところです。

給付金をもらったら確定申告が必要?

給付金は所得扱いされませんので、確定申告は不要です。

給付金が振り込まれるタイミングは?

給付金が振り込まれるタイミングは明確には言えないのですが、下記が目安になります。

  • 初回:訓練の開始から1ヶ月半〜2ヶ月後
  • 2回目以降:申請後から約1週間〜10日後

詳しくは窓口で確認しましょう。

給付金目当ての受講はおすすめできません

「職業訓練の内容にはあまり興味がないけど、月10万円もらえるならお得だし、もらっておきたい」

「就職するつもりはないし、そもそもフリーランスを目指しているんだけど、お金もらえるのはお得だし、一応職業訓練を受けたい」

このような声を聞くことがありますが、給付金目当ての受講はおすすめできません。

審査は甘くないですし、まとまった時間を取って受講しないと修了できませんので、途中で心が折れる可能性があります。

  • 就職したい!スキルアップしたい!と本気で思っている
  • 学びたいと思える職業訓練校を見つけた

このような時にフル活用したいのが職業訓練(ハロトレ)です。受講できる条件に当てはまり、かつモチベーションがあるときに受講しましょう。

さいごに

職業訓練、特に求職者支援訓練の給付金・手当について解説してきました。

給付金・手当がもらえそうか、難しそうなのか、イメージするのに役立てたら嬉しいです。

ワークキャリアも認定を受けて、求職者支援訓練として講座を開講しています。

上記は全て自宅から受けられるオンライン完結型のeラーニングコースです。

子育てや介護中の方、ハローワークまでのアクセスの悪いエリアに住んでいる方でも受講しやすいので、お気軽にご相談ください◎

eラーニング職業訓練ジョブトレが受けられるかの診断テストバナー
一覧へ戻る

現役メンターによる個別カウンセリング実施中!

どんなキャリアが自分に向いているか不安な方へ。
これからのキャリアや働き方について相談できるカウンセリングを実施中。
「今すぐ受講できない」 「まずは話を聞いてみたい」方も申込可能です!

まずは相談したい話を聞いてみたい方は 個別カウンセリングを申し込む
お申し込み後、担当者から日程についてご連絡させていただきます。
TOPに戻る