株式会社ワークキャリアの取締役社長を務める行武亜沙美さん。専業主婦→パート勤務→フリーランス→会社員→会社役員+3社で副業というカラフルなキャリアを歩んでいます。
「取締役社長」という肩書きだけを見ると強そうな印象ですが、実はPMSで体調を崩しやすかったり、スペシャリストではないというコンプレックスがあったり、働く上での繊細さも持ち合わせています。
普段から「自分に合った働き方」や「ご自愛術」について意見交換している伊藤が長めのインタビューをしてきました。
「自分に合った働き方」を考えるきっかけにしていただけたら嬉しいです。
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目次
週スケジュールや在宅勤務と出社日の使い方についてお聞きしました。
▼雇用形態
関連会社で正社員雇用され、役員として株式会社ワークキャリアに出向する形をとっています。正社員であり、役員でもある状態です。
▼週スケジュール
複業の状況によって3ヶ月〜半年ぐらいのスパンで変更しています!
副業では3社とお仕事をしています。コミュニティづくりの経験を買われた業務が多いですね。
コミュニティづくりやバーチャルオフィスの導入、経営者の方の壁打ち&サポート業務などをしています。
Podcast(ラジオ)のリスナーさんから依頼されたり、知り合いから紹介を受けたり、わたしの人柄を知った上で相談していただけています。
週の稼働は40時間未満です。
関わる企業は4社と多いものの、プレイヤー的な業務は少なく、ディレクションが多いので、稼働時間は抑えられています。
週2在宅ワーク、週3コワーキングスペースにいることが多いです。
使い分けとしてはこんな感じです。
現状はこのバランスがちょうど良いです。
低気圧に弱かったり、PMSの症状が出たりするので、そういう時は在宅ワークが多めになりますね。
どうしても人と会うことが多い時は、出先でも個室を探します。一人でいる時間がとても大事なタイプです。
①土日は働かない
②気温、気圧、季節の変わり目、生理前などコスパが悪い時は潔く諦める
③年末に翌年目指す働き方を棚卸する
新卒時代には無理をして体調を崩すこともあったので、今は無理しないように心がけています。
もし自分が通勤ありの会社員だったとしたら、まずは「有給を使えるのは大前提」というスタンスで仕事すると思います。
有給休暇の取得理由は必要ないので、イベントでなく、病気でもなく、自分の身体を守るための休暇を取ってもいいはずです。
「みんな大変だからみんなで大変になろう」ではなく「調子が悪い時は休もう」を大事にしたいんです。
もしその考え方が認められない職場だとしたら、いずれ自分の心身を壊すと思うんですよね。なので考えが認められない場合は「転職または独立のタイミングかな」と捉えると思います。
わたしの場合は、ディレクション業務を多くしてそもそもの稼働量を少なくする、自分に合わせた予定を組ませてもらえるように交渉する、などの工夫しています。
「今日は低気圧で調子が悪いけど、気圧が戻ったら、また明日頑張ればOK」が通用するように、リカバリーを含めて計画を立てています。
最悪のパフォーマンスを想定して計画を立てていますね。
70%くらいのエネルギーでも求められた成果が出せるよう、なるべく得意な業務を選んでいます。
また、体調を崩しても期限内にリカバリーできるように余裕を持ったスケジュール組みも意識していますね。
残りの30%で「余計なこと」、つまり必須ではない業務まで手をつけると「こんなところまでやってくれたんだ!ありがとう!」と満足してもらえるんです。余力を残した働き方をしています。
70%の力でも満足してもらうには「強み」で勝負する必要があると思います。ただ社会人経験が浅いと自分の強みはわかりにくいかもしれません。
早くから自由な働き方を選ぶことも悪くありませんが、ジャンルを問わず仕事が任されるカオスな環境の中に身を置くことで、自分の得意なことや肩の力を抜いてもできることが見えてくるように思います。
カオスな環境に身を置く→振り返る時間を取る→思ったよりできたこと、楽だったことをメモしておく
この繰り返しをする中で、自分の強みや大事にしたいことが見えると思います。
家事経験がない状態で専業主婦になり、精神が落ち込んだという行武さん。
仕事好きな行武さんから仕事を奪うと一体どうなるのか、過去に踏み込んでみました。
27歳の頃、結婚のタイミングで異動の打診がきたので結婚生活を優先して仕事を辞めました。
これが大きいです。呪いのように「女性は結婚したら家庭に入るもの」と思い込んでいましたね。
「普通」から外れるのが怖かったですし、自分の気持ちよりも「世間的にどう思われているか」の方が優先度が高かったです。「〜すべき」「〜が当たり前」にとらわれていました。
昔はいい意味でも悪い意味でも相手に合わせる「事なかれ主義」だったんです。
でも本来は自我が強い人間なんですよね。
「相手に合わせる」「遠慮して気持ちを伝えない」という状態は気持ちと行動がねじれていて、フラストレーションを起こしがちでした。
専業主婦になってからは「専業主婦、いやだ!」と全てを投げ出しかけました。笑
自分の意見と、相手の意見を、いいところに着地させられるようになりました。
「ここだけは譲れないのですが、どうにかなりませんかね?」といった交渉が上手くなったと思います。
ワークキャリアのコミュニティは本音の対話をしやすい環境なので、鍛えられたのかもしれません。
どんな話をしても誰も馬鹿にしないので、自分の意思を伝えやすい環境に恵まれていると思います。
何を買うにも罪悪感があり、不自由で減点方式の考え方をするようになりました。
成長する場所がなくなったような感覚で「自分には何もない」「自分らしさって何だっけ?」と思ってしまい、かなり憂鬱な時期でしたね。
自分は何があってもハッピーな人間だと思っていたので、気持ちが落ち込んでびっくりしましたね。憂鬱で朝起きられず、昼の1時に起きるような専業主婦時代でした。
一人暮らしを経験せずに、実家暮らし→専業主婦になったのも良くなかったなと思います。
専業主婦が不向きなことになってみてから気づきましたが、今思うとあまりに思考が浅いので自業自得の要素もかなり強い気がします。笑
気持ちが落ち込んでしまったので、社会復帰として不動産屋の事務職を始めました。
時給1,000円・パート・通勤ありという条件だったので、今ほど「自分らしい働き方」ではありませんでした。
それでもお給料が振り込まれること、自分の名前を呼ばれることが本当に嬉しかったです。
一時期家族の事業を手伝っていたのですが、途端に「奥さん」と呼ばれることが多くなりました。自分の名前で呼ばれず、何か成果が出たとしてもそれは自分のものではない。
「私だってやればできるはずなのに!」という気持ちが募り、心がひねくれていきました。
「社会に認めて欲しい」という気持ちが溢れてきましたね。
「あなたがやってくれたから助かった」という実感が欲しかったのだと思います。
バリバリ働く知り合いから悔しい言葉をかけられて「私だってやってやるよ!」と怒りの気持ちがわいてきたのも行動を起こすきっかけになりました。
そこから専業主婦、パート、フリーランス、会社員を経て今の働き方に至ります。
行武さんは会社やコミュニティではリーダーとしてメンバーをまとめています。
それぞれ聞いてきました。
まずは個人としてのこだわりをご紹介します!
実際のメモを見た方が分かりやすいので、お見せしますね〜!
一部隠していますが、こんな感じです。
毎月自分で確認しているわけではありません。このメモを秘書さんに共有しておいてコメントをもらうようにしています。
毎月定例ミーティングは「今月の私、どうだった?」からスタートするんですよ。
秘書さんが「○○はどうなってますか?」「ミーティングが多すぎるので休んだ方が良いですよ」と声をかけてくれるので、一人でPDCAを回すよりも取り組みやすいです。
「自分を客観的にみてくれる人にそばにいてもらう」というのは、かなり意識しているところかもしれません。
項目は自由に決めてOKです。わたしの真似をしてもらってもOKですよ〜!
この2つを意識して、爆発しないようにしています。
秘書さんとの定例ミーティングで「ここはもう休みましょう」と言ってもらうようにしています。
ワークキャリアで働くようになってから、意識的に休むことが増えましたね。
そういえば今年の3月は移動が多くて疲れそうだったので、あらかじめ31日に「絶対に何もしない日」を作っておきましたよ。
「無理できないよ〜今一杯一杯だよ〜」と、ストレスが溜まっていることや不調であることを周りの人に言っておきます。
例えば私は入社当初から「PMSの時期は使い物になりません」とカミングアウトしていました。
突然欠勤すると周りに迷惑がかかりますが、大体時期の予測はつくのであらかじめ他の人に協力を依頼しておいたり、打ち合わせをオンラインに変更してもらったり、業務の進行に差し障りがないよう調整するようにしています。
(もちろん症状が出る前に集中して仕事を片付ける、元気になったら思いっきり巻き返す、などの工夫も大事ですね)
何事もリカバリーが効くうちにSOSを出しておくのは、自分も周りの人も安心して働くために大事なことだと考えています。
コンディションを伝えることに損はないと思いますね。
自分の最高レベルのわがままを口に出したり書いたりしておくことが大事かと思います。
例えばわたしの場合はこんな感じです!
はじめは1〜2個叶えばいい方ですが、工夫次第ではクリアできる個数が増えてくるはずです。
既存のお仕事も、この項目がクリアできないか積極的に交渉しています。
「自分のわがままを通す」というよりも「こうしてもらえると私のパフォーマンスが上がります」という提示の仕方がほとんどですね。
上記に当てはまらず、お断りしたお仕事もあります。
あらかじめ項目をリストアップしておくと「この項目に合わなかったから断ろう」という基準ができるので、無駄に悩む時間が少なくなると思いますよ。
ちなみに新卒〜専業主婦の間はチェックポイントを設けていませんでした。すると他責思考に陥りやすく、周りに不満をぶつけてしまうんですよね。
「自分はどう動きたいのか?」という視点を持つのはおすすめです。
周りのせいにせず、自分の行動ベースで改善できるので。チェックポイント、ぜひ作ってみてください!
チェックポイントは1個でもいいと思ってて、「絶対に外に出たくない!」とかもいいんです。それを叶えるために動くことが、自分を変えるいいきっかけになるはずです。
専業主婦を経て、パートを始めた時です。「やっぱり自分に足りないのこれ(仕事)だったか〜」と思いました。
自分で決められることが好きで、責任を取って生きていきたいんです。
今はワークキャリアの役員として固定収入をもらっていますが、副業も多いですし、フリーランス的要素は強い方だと思います。
このような想いは強いです。
これからも自由と責任を両方引き受けて、仕事をしていきたいですね!
続いて組織のリーダーとしてのこだわりをお聞きします。
そうですね。男女問わず自分の心身の話をタブー視せずに、気軽に言える環境が理想的だと思っています。
接客業の頃は体調不良の時にがんばりすぎて円形脱毛症になったこともありました。
お客さんを目の前にして「辛い」とは言えないので、あの時「自分が調子悪い時はよろしくね!」と誰かがカバーしてくれたらどれだけ気持ちが楽だっただろうと思います。
ワークキャリアメンバーには心理的安全性のある環境の中で
ことができる人たちであってほしいですね。
最近日報に「PMSなので控えめに稼働します」「調子が悪いので早めに上がって病院に行きます」という投稿も見られるようになり、コンディションをオープンにする土台は整ってきたなと感じているところです。
まだまだこれからの部分もありますが、自分も周りの人も犠牲にしない組織づくりをしていきたいですね。
境界がなくなりつつあり、心地よいです。まだオンオフはありますが、以前よりはだいぶ融合してきた感じがします。
「暮らすことが働くこと」が理想的だなぁと思っていて、オールインワンの状態でありたいです。部屋着のまま働くようなイメージですかね。
例えばコミュニティのメンバー同士で「これやらない?」が仕事になると楽しそうですよね。仕事仲間であり、コミュニティメンバーでもある人が周りにたくさんいるイメージというか。
ずっと「村を作りたい」と言い続けているのも、こういった理由です。
仕事をお願いする時は「あなただからお願いしている」が伝わるような言葉選びをするようにしています。
そのために大切にしているのは下記のことです。
基本的には本人がやりたい仕事をやってほしいので、迷っている場合は「また今度にしよう!」と言うようにしています。
その時は「頼む……助けてくれ……」と素直にヘルプを出します。笑
「助けてくれ……」と言われて、無限に業務が続くと引き受ける方も重荷になると思うので、目安の終了時期はきっちり提示します。
終了時期が見えて、かつ「行武の近くにいると良いことが起こりそうだ」と思ってくれるような状況であれば、引き受けてもらえることも多いと思います。周りの人にはいつも助けられていますね。
今は誰かに仕事を頼む際に妥協点を見つける工数が発生しているので、今後はもっとツーカーな存在が増えると嬉しいです。
そのためには自分自身がレベルアップしないといけないので、スキルも経験も積み上げていきたいですね。
この辺りがコンプレックスかもしれません。
※コストセンターとは:コストは集計されるものの利益は集計されない部門。総務部や人事部、経理部などの間接部門を指すことが多い。
スペシャリストになれない、斜め上の発想ができない、数値に弱いの3つに関しては「自分がやれるようになる必要はない」と割り切っています。
仕事で大事なことは「ゴールに到達すること」だと考えています。であれば、ゴールするために必要な人に頼めばOKです。
「自分がやる」以外の方法を見つけて、ゴールすることに視線を移しています!
「必要だからいてほしい」と言ってくれるような方とお付き合いするようにしています。間接部門の予算もきちんと出してくれるような方とはお仕事しやすいです。
この話と少し近いのですが、コミュニティ自体をガンガンお金にしようとする方とは相性が良くないかもしれないなぁ、と感じることがあります。
わたしはhinodeの店長を5年間務めていますし、確かにコミュニティづくりが得意に見えるかもしれません。
ただ、コミュニティを使って直接的な利益を出すことは得意ではありません。
主軸の事業があって、それをより強くするためのコミュニティ作りが私の得意分野だと考えています。
まずは欲しいものを口に出すこと、紙に書いてみることが大事だと思います。
その中で一番できそうなことを1つだけ選ぶこと。
クリアできる方法を考えてみること。
クリアできるまでやり切ること。
どんなに小さなことでもこれを繰り返していけばだんだん理想に近づいていくはずです。
ワークキャリアのビジョンとして掲げている「日本のどんな場所、どんな人でも、自分に合ったキャリアを選択できる社会をつくりたい」の通り、どんな人でも自分に合った生き方・働き方ができるようにこれからも頑張っていきます!
\ 12/27-1/9 自分に合った働き方コンペ、開催中! /
プロフィール
株式会社ワークキャリア 取締役社長 行武亜沙美
徳島県生まれ香川県育ち。日本大学芸術学部卒業。 新卒でインテリアショップ店員として勤務し、結婚後は専業主婦に。
パートタイマー時代に “『発信力をアップさせる』ゼロからのやさしい図解 ” を執筆し、SNSで話題になったことをきっかけに独立。
フリーランス、会社員を経てパラレルキャリアを築きました。 (PERSOL Work-Style AWARD 2021 パラレルキャリア部門受賞)
会社は週3日勤務のため、コミュニティマネージャーをはじめとしたさまざまな副業をしながら活動しています。
Twitter:https://twitter.com/OTASM9
Podcast(音声メディア):なあなあ、最近何しよん?
編集後記
普段から「仕事のスケジューリング方法を来月から変えてみる予定!」「今週はPMSだから厳しい……」などと話しているわたしたちですが、リーダーポジションの行武さんが柔軟で寛容なことにより、わたし自身すごく救われていることを改めて感じられたインタビューになりました。
ワークキャリアは千葉の田舎に本社を構える小さな会社ですが、この小さな会社から「自分に合った働き方」の渦を作れたら面白いし、作っていく必要があると感じています。
これからも自分に合った働き方を選び続けて、楽しく仕事を頑張っていこうとモチベーションが高まりました。この渦に多くの人を巻き込めるように、目の前の仕事もWeb上での発信も頑張っていきたいです。
受講生としてワークキャリアコミュニティに入ってきたい人、ただ宿泊したい人、メンバーとして活動したい人がいたらお気軽にご連絡ください!
記事を書いた人
株式会社ワークキャリア マーケティング事業部 伊藤菜々
千葉県在住。大学時代のアルバイトや教育実習の経験から「週5日フルタイムで会社員として働くのは自分には無理だ」と感じ、新卒でフリーランスのWebライターに。現在はフレックス・在宅ワークで週3正社員+フリーランスとして勤務中。
みんなが幅広い選択肢を持ち、みんながご自愛しながら生きられるような社会になればと願いながら、自分に合った働き方×田舎暮らしを実践中。趣味は家庭菜園です。
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