発達障害の傾向を自覚しつつ、現在は自分に合った働き方を実現している伊藤菜々さん。
菜々さんが「生きづらさ」を解消し、心地よい働き方に至るまでのカギとなったのは試行錯誤と“ご自愛”でした。
今回のインタビューでは、菜々さんが現在の働き方に到達するまでの経緯について、お話をうかがいました。
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目次
今はワークキャリアで会社員をしながら、フリーランスとしても活動しています。
ワークキャリアには2018年から業務委託として関わっていて、その後社員として入社しました。
会社員といっても週5フルタイムではなく、時短勤務かつフルリモート、フルフレックスなので、結構フリーランスの活動とは両立しやすいですね。
フリーランス一本の頃にはなかった、社会保険・産育休暇の制度が使えるのも安心感がありますし、苦手な請求書発行をしなくて良いのもポイント高いです。
会社員として週5フルタイムで働く気力体力なんて私にはないと思っていたので「こんな革命的な選択肢があったのか……!」という感じでした。
たしかにあまりメジャーではないですよね。(笑)
ざっくり言うと、会社指定の時間数さえ仕事をすれば、働く場所と時間が自由に決められる感じです。
私の場合は「週に最低24時間働いてください」という決まりがあるので、8時間勤務を週3日とか、6時間勤務を週4日とかで時間調整をしています。
仕事場所は自宅が多いんですけど、たまに近くのコワーキングスペースに行ったり、気まぐれに実家に帰省したりもしますね。
気軽に実家に帰れるのは、私にとっては結構大きなメリットかなと思っています。
受託系だとライティングやマーケティングの仕事が多いかなと思います。
あとは、個人で立ち上げている占いサービスや、ブログの運営などもちょこちょこやってますね。
一応会社員ではあるんですけど、フルタイム勤務じゃないのでフリーランスとの両立もやりやすいです。
▼菜々さんの週間スケジュールの例
月 | 13〜17時会社員(月曜午前は憂鬱なので仕事しないでダラダラする) |
火 | 10〜16時頃まで会社員、そのあとはフリーランスor畑 |
水 | 10〜16時頃まで会社員、1週間分の買い出し |
木 | 10〜16時頃まで会社員、そのあとはフリーランスor畑 |
金 | 10〜16時頃まで会社員、そのあとはフリーランスor畑 |
土 | 休み |
日 | 休み |
“ご自愛”の考え方は結構大事にしているかなと思います。
ご自愛はセルフコンパッション(=自分への慈しみ)的な意味で個人的に使っている言葉です。
発達の傾向から苦手なことが多くて、昔は生きづらさを感じることが多かったんですけど、ご自愛精神を大事にするようになってからは、だいぶ生きやすくなったんです。
仕事においてもご自愛精神を軸に工夫することで、自分に合った働き方を実現している感じはあります。
例えば、疲れやすいので仕事の量や人付き合いで無理をしないとか、スマホにSlack(仕事用連絡アプリ)を入れないとか、あとは、サザエさん症候群になっちゃうので月曜午前は仕事をしないとかもありますね。
季節に合わせて始業時間を変えていたり、寒い日は体調不良になりやすいので仕事をしながら足湯をしてみたりとか。(笑)
苦手なことが多い自分を受け入れて、自分に優しく接するようにしています。
▼菜々さんの働き方のマイルール
全然そんなことはなくて、実はフリーランスになりたての頃は今とは真逆の働き方でした……!
大学4年生のときにいなフリ(現ワークキャリア)を受講して新卒フリーランスになったんですけど、初期のお金のなさはひどかったですね。
受講前もお金がなくて、そのくせにどうしてもいなフリが受けたくて「Polca」という小規模なクラウドファンディングを活用してお金を集め、何とか参加にこぎつけました。(笑)
とにかくお金がないから昼夜問わず働いていたし、旅行中に助手席でライティングをしていたこともありました。
ちょっとヤバい案件にも手を出したりもして……。
例えば、テレビで放送されていたアダルト系のシーンを探す仕事とか「地方のナンパスポット10選」っていうテーマで記事を書いたことがあります。(笑)
もちろん全然やりたい仕事じゃなかったんですが「稼ぐ」という目標があったので、手段は選んでいなかったんです。
実はやると決めたらゴリゴリ頑張れちゃうタイプなんですよね。
ワークキャリア受講時は朝9時〜23時頃まで仕事したり、受講後すぐに「20万円稼ぐ」と決めて実際に20万円以上稼いだり。
最近はご自愛や家庭菜園系の発信をすることが多いので、すごく繊細な人だと思われがちなんですけど、自分としてはそうは思わなくて。
やると決めたらやるし、ゆっくりしたいときはゆっくりするし、いろんな面があると思います。
今考えるとずっと体調は悪かったし、無理してたなと思います。
でも、当時はそれで良かったんです。
その頃はご自愛なんて頭になくて、プライドが高くて完璧主義なタイプでした。
今でこそ知り合いからの紹介でお仕事をしたり、私が苦手なことをカバーしてくれる人を頼ったりしていますが、昔はプライドが高すぎて人に頼るのも難しかったです。
「知り合いから案件をもらうのはコネでありズルだ。知らない人に営業して仕事をもらうのが正しい」と頑なに紹介案件を断ってたりして。
「できる人でありたい、強くなりたい、客観的に評価されたい」といった気持ちが強く、ご自愛とは真逆だったと思います。
精神科の先生から発達障害の傾向を指摘されたことがきっかけですね。
大学4年生のときに医師からの指摘を受けたので、フリーランス初期の頃はすでに自分には発達障害の傾向があると知っていたのですが、まだまだ自分の特性と上手く付き合うことができていませんでした。
でも「無理して働いて、適応できなくて、失敗して」を繰り返していくうちに、徐々にご自愛とかセルフコンパッションの考え方の大切さに気づいた感じです。
そうですね。
子どもの頃から、いわゆる「社会のルール」に適応するのが難しかったです。
そういう意味では生きづらさを感じていたのかもしれません。
生きづらさにも色々あると思うんですけど、私の場合できない自分に悲しくなるというよりは、社会のルールに対してイライラしていることの方が多かったです。
「このルール誰が決めたんだよ」みたいな。(笑)
小学生時代は、体育が嫌すぎて休みがちでしたし、中学時代は決められたスケジュールで登校するのが嫌で不登校気味でした。
▼菜々さんの苦手なこと
そうですね……。
なんというか「これだ」と確信したときに、手段を選ばず突っ走ってきたことでしょうか。
「苦手なことを避けて働くにはフリーランスしかない」と確信して、貯金残高が500円なのに、お金を恵んでもらってまでいなフリに参加したときもそうだし「フリーランスとしてとにかく稼がなきゃ」と思って大変なライティングをしていたときも手段を選ばず頑張ってましたし。
苦手なことが多いからこそ、これだ!と思えたことだけは確実に自分のものにするように頑張ってきました。
貴重な“できること”を大切にするイメージです。
だからこそ、周りの目を気にせず、手段を選ばず行動して、最短ルートで理想を現実にするのが大事かなと思っています。
かなり肯定的だと思います。
取締役社長の行武さんも、ご自愛について私と同じような心がけをしていますし。
ワークキャリアメンバーはワーク・ライフ・バランスを重要視している人が多いと思います。
とくに上司である山口さん(CEO)と行武さん(取締役社長)が、きちんと土日に休みを取るタイプなので、時短でゆったり正社員をしていることへの罪悪感を感じずに済んでいます。
社員の働き方はフレキシブルでも、社長や役員は“セルフブラック”で働いている企業もあると思うので……。
影響というか、ワークキャリアには私の苦手とすることが得意な人がたくさん居るので、向いていない仕事を無理してやらなくて良いのはありがたいですね。
自分とはタイプの違う、フランクでGive精神のある人も多いので、助けてもらいやすいです。
あとは、ワークキャリアはメンバー全員がリモートワークなので、テキストベースでコミュニケーションが取れるのは良いところです。
私は対面でのコミュニケーションは下手なのですが、テキストなら普通にできるので、ネットを駆使してWebで完結する職場は働きやすいですね。
今は大変な環境で働いているかもしれませんが、その環境を逆手に取って自己理解の機会にしてみてほしいです。
すごい人と自分を比べたり、変なプライドで意地を張ったりせず、苦手なことが多い自分を理解して受け入れたほうが楽だと思うので。
例えば、電話の受け答えで失敗したら「自分はダメだ」で終わらせるんじゃなくて「電話が苦手な理由は〇〇だな。次は電話対応が少ない仕事に就くと良さそうだな」と考えてみるとか、自分を研究するイメージですね。
自分の得意不得意を理解し、そんな自分を大切に思うことが、自分に合った心地よい働き方の実現につながると思いますよ。
また、リモートワークやフレックス勤務ができる職場が少なく感じるかもしれませんが、私と同じように、まずはアルバイトやフリーランスとして関わりを持てば、徐々に理想の配分に近づくのではと思います!
編集後記
自分に合った働き方を実現している菜々さんですが、10年後の理想の働き方についても聞いてみました。
10年後は働く要素をゼロにして、暮らし自体が勝手にお金になる状態を目指しているそうです。
実現に向けて、庭のハーブを配布したり、Instagramで自分の暮らしを発信するなどの小さなアクションも始めているそう。
余裕のある働き方が実現し、家庭菜園や料理などの趣味に時間を使えることが増えたことが、新たな目標につながっているとか。
「新たな夢もできたので、今のような余暇時間の多いストレスフリーな働き方ができて本当に良かった」と話す姿が印象的でした。
記事を書いた人
フリーライター あまのこなみ
千葉県いすみ市在住。体力の限界を感じ自動車販売店を退職し、2020年にいなフリ(現ワークキャリア)受講。その後ライターとして独立。
ワークキャリアでは、合宿期間修了後のオンラインサポート「キャリアステップ」の講師も担当しています。
Twitter:@amano4510
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